鳩の被害/2015.08.06
鳩が食中毒を運ぶ!
身近に潜むサルモネラ食中毒の恐怖
サルモネラ食中毒は、国内で多くの発症例がある食中毒の1つです。学校、福祉施設、病院などでの集団食中毒もたびたび起こっており、体力のない子どもや高齢者が感染すると、重症化することも珍しくありません。
サルモネラ食中毒は、動物を媒体によって引き起こされることがあります。鳩もその一つです。予防するためにはどうすればいいのかをご説明します。
■サルモネラ食中毒とは
サルモネラ食中毒は、サルモネラ菌という病原菌によって起こります。サルモネラ菌は自然界に広く分布する細菌であり、牛・豚・鶏といった動物の腸内では常在菌として存在しています。
主な感染経路は、サルモネラ菌を保菌していた家畜の肉や卵の摂取です。一般的に、1g中に1万個以上のサルモネラ菌が生息している食品を食べると、感染して食中毒症状を起こすといわれています。ですが、食品を通してだけでなく、サルモネラ菌を保菌したペットや昆虫に触れることで感染することもあります。
サルモネラ菌は、哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類などさまざまな動物の体内に存在しますが、鳩も例外ではありません。鳩がよく飛来する場所には糞被害がつきものなので、サルモネラ食中毒を防ぐためにも、鳩対策をしっかり行って鳩を寄せ付けないことが大切です。
■症状
サルモネラ食中毒の最も一般的な症状は、急性胃腸炎です。
感染後、半日~2日程度で発症することが多く、まず吐き気、嘔吐から始まり、その数時間後には腹痛、下痢の症状が現れます。下痢は3日~4日にわたって繰り返され、1週間以上続くこともあります。体力や抵抗力のない子どもや高齢者が感染すると、脱水症状を起こして重症化することもあるので、特に注意が必要です。さらに、意識障害や痙攣、菌血症を起こす恐れもあります。
■予防・対策
食品を通して感染する一般的な食中毒の場合、次のような予防法が知られています。
・肉や卵を食べるときはしっかり加熱し、調理後はすぐに食べる
・肉や卵の調理に使ったまな板、包丁、布巾などは洗剤でよく洗い、熱湯をかけて殺菌する
一方、鳩を原因となる場合は、サルモネラ菌を含んだ糞に触れる、または吸引することで感染します。そのため、予防するためには、鳩の糞にできるだけ近づかないことが大切です。特に、小さな子どもは公園で遊んでいるときや歩道を歩いているときに、地面に落ちている鳩の糞に触れてしまう可能性があります。誤って鳩の糞を口に入れたり、糞に触れた手で口元に触れたり物を食べたりすると、サルモネラ菌に感染する恐れがあるのです。ですから、子どもと一緒に訪れる場所では、鳩の糞が落ちていないかどうかよく注意しましょう。もしも子どもが鳩の糞に触ってしまった場合は、すぐに石鹸で手を洗うことが大切です。
なお、飲食店を経営している方も、鳩が食中毒を媒介しうることを強く意識しておく必要があります。特に、テラスや屋上にテーブルを設置している場合、食事中のお客様に鳩が近寄ると、サルモネラ食中毒の発生につながるかもしれません。それを防ぐためには、鳩が店の周辺に飛来しないように、事前に鳩対策をしっかり行っておきましょう。専門の業者に依頼すれば、お店の規模や立地、鳩被害の状況などを調査した上で、効果的な対策プランを提案してもらうことができます。電気ショックシステムのように、お店の美観は損なわず、高い効果が期待できる対策方法もあります。
お子さまの健康被害のご相談は#8000
小さなお子さまの健康被害のご相談(どう対処したらよいのか、病院の診察を受けたほうがいいのか、など)は、全国同一の短縮番号#8000におかけください。お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さまの症状に応じたアドバイスを受けることができます。
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