教えて!鳩対策センターさん

/2021.01.06

最近話題の鷹匠による害鳥駆除について解説

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鷹による害鳥駆除とは?

「近所の電線に止まっているムクドリの大群の鳴き声がうるさい。」
「ベランダの洗濯物が鳩の糞で汚れてしまう。」

都会に住んでいても、こういった害鳥による被害は少なからず発生しています。いえ、むしろ都会だからこそ鳩やカラスは棲家や餌を求めて人間の生活圏にまで入り込んでいるのです。

今回は、そんな害鳥駆除の切り札として期待されている鷹による駆除方法についてお話します。

害鳥とは?

一口に害鳥といってもさまざまな鳥が上げられます。鳩やすずめなど一見すると人畜無害に思える鳥であっても、爆発的に数を増やすことで糞害や農作物が被害を受けることもあるのです。

また、カラスなどは高い知能を持つことから、ごみ集積場を餌場とするため、たびたび衛生問題として取り上げられますし、ムクドリの大群は騒音問題にも発展します。

特殊な例ですが、渡り鳥は毎年定期的に海を渡って海外からやってきますが、その際、鳥インフルエンザなどの未知の病原体を持ってきてしまうこともあるのです。

こういった被害は、世界中で報告されていて、アメリカでは1995年に打ち上げ予定だったスペースシャトル・ディスカバリー号がキツツキに穴を開けられたため発射が遅れるといった笑い話のようなできごとも起きているのです。

害鳥が発生する理由

ハトやカラスが大量発生する理由のひとつに天敵が存在しないといったものがあげられます。人間社会においてもっとも強い影響力を持っているのは、もちろん人間です。しかし、人間は害鳥を捉えて食べることはしないかわり、自身の安全のため生活圏に強大な捕食動物が存在することを許しません。

結果として、本来であれば食物連鎖の下位に位置するような鳩やすずめといった鳥類も、命を脅かされることなく、その数を増やすことができてしまったのです。このことは、ねずみや鹿やイノシシといった害獣にも当てはまるでしょう。

鷹を使った害鳥駆除とは

ハトやカラスなどの小型の鳥類にとって鷹は捕食者であり天敵です。自然界に暮らす動物たちには天敵というものが存在し、これは文字通り天から与えられた敵であり、がんばれば勝てるといったものではありません。天敵と遭遇してしまった場合は、ひたすら逃げるか運を天に任せ隠れるしか生き残る方法はないのです。

鷹が害鳥駆除に用いられる理由は、この天敵という自然界のシステムを利用したもので、おもちゃや罠に慣れるとこはあっても、ほんものの鷹になれるということは決してないのです。鳩の群れは、鷹の姿を見ただけでパニックを引き起こすほどなのです。

代表的な害鳥被害


では、実際に害鳥によってどのようは被害が生じているのでしょう。具体的に鳥の種類をあげて被害状況を見ていきましょう。

ムクドリの害鳥被害

もともと、ムクドリは農家にとって見れば益鳥と言われる存在でした。ムクドリの平均的な家族構成は親鳥2羽にひな鳥が6羽。昆虫などを食べる肉食のムクドリ一家が1年間に捕食する昆虫は100万匹とも言われ、お金のかからない害虫対策として歓迎されていたのです。

ところが、田畑の少なくなった都市部においては虫を食べることよりも、鳴き声のうるささと糞害の方が目立ってしまうのです。ムクドリは夜間、十数km四方からひとつのねぐらに集まって休むという習性があり、その場所が都市部の人口密集地で会った場合、騒音被害、糞による健康被害が発生してしまうことから現在は駆除の対象となっているのです。

ハトの害鳥被害

平和の象徴として保護されてきたハトは日本に亜種を含め13種類ほど生息しています。そのうち、私達がよく目にするのはドバトとキジバトです。鳩も群れを作る鳥で、人をあまり恐れないことからマンションや団地などの高層階のベランダにしばしば巣を作ることが報告されています。

ハトの害として、鳴き声による騒音被害や糞による汚れ、健康被害などがあげられます。ハトは冬場、温かい場所を選んで過ごすことが多く、工場やマンションのベランダなどに巣を作る習性があるのです。

カラスの害鳥被害

知能が発達したカラスは、雑食性で人間の排出したゴミを漁って食料にすることを覚えてしまいました。そのため、各地のゴミステーションが荒らされることによる衛生問題が深刻化しているのです。

また、非常に縄張り意識が強いことから、うっかりと巣の近くに入ってしまった人間に対し攻撃することもあることから駆除の対象となることが多い鳥類です。

従来の害鳥の問題点

鳥獣保護法

日本において害鳥問題が深刻化する理由のひとつに鳥獣保護法をあげる専門家もいます。実は、日本では資格を保たない個人・団体が捕まえたり処分したりできる鳥類は一種類も存在しないのです。

日本に生息するすべての鳥類は、鳥獣保護法で守られていて、違反した場合は1年以上の懲役または、100万円以下の罰金に処される場合もあるので注意が必要になります。実際、仙台市の男性は、カラスによるゴミ散乱の被害に悩まされていて、毒入りの餌をごみ集積所に置き、カラスを死なせた罪で書類送検されています。たとえ、害鳥の被害にあったとしても、自分で解決することはできないわけです。

従来の害鳥駆除のデメリット

カラスやハトの被害から身を守るためには、どのようにすればいいのでしょうか。よくCDをぶら下げたり、目玉模様のシートを張ったりしているお宅を見かけることがありますが、鳥類の知能はおしなべて高く、一旦慣れてしまうと平気で近寄ってきてしまうことから駆除効果はそれほど高くありません。

やはり、害鳥駆除を専門にしている業者に頼むことをおすすめします。しかし、害鳥駆除はたしかに効果があるのですが、デメリットも存在するのです。

防鳥ネットを張ると見た目が悪い

では、具体的にどのような方法があるのでしょうか。マンションや団地などのベランダにネットが張られているのを見たことがないでしょうか。これは、防鳥ネットとよばれるもので、鳩などが近寄れなくする駆除方法です。帰巣本能にすぐれた鳩が、巣を移すまでにはしばらくの間、ネットを張り続ける必要があるのですが、その間は中からの景観も悪くなりますし、周囲から見てもあまり感じの良いものではなくなってしまいます。

鳩が剣山を避けて居座る

ベランダの手すりなどに鳩がとまれないよう剣山を置く駆除方法もありますが、一面剣山を敷いてしまうと人間の生活動線も奪われてしまうことになります。また、頭の良い鳩は剣山をよけてとまったり、洗濯用の物干し竿などを利用したりして居座り続けることもあるのです。

鳩が忌避剤に慣れてしまう

鳩が嫌がる成分を配合した固形・ジェル・スプレー状の忌避剤を用いた対策もありますが、こちらも天気によって左右されたり、忌避剤そのものに慣れてしまって居座ったりすることがあります。

鷹による害鳥駆除の流れ


では、鷹を用いた害鳥駆除とはどのようなものなのでしょう。ここでは実際の流れを見てみましょう。害鳥の種類によっても異なりますが、一般的に週数回、月にして8~10回ていどを目安に追い払いを行います。

期間は、営巣をあきらめ、ほかの場所に移動するまでで、時期や個体差に応じて3~6ヶ月ほどかかる場合もあります。時期による違いというのは、鳩やカラスはとても帰巣本能が強く、一旦、営巣し卵を産んでしまうと、その巣に対し強い執着を持ってしまいます。

カラスの場合だと4月から7月に産卵しますから、その前に駆除を行うことが効果的になります。

1000羽の鳩が相手でも1羽の鷹で十分?

まず、勘違いしてはいけない点として、鷹が捕食者であったとしてもカラスや鳩を食べることで数を減らすわけではありません。あくまで天敵から逃げるという本能を利用し、違う場所に追い払うことが目的になるのです。

実は鷹というのは、昔から人間のペットとして親しまれてきた鳥で海外でも害鳥対策に用いられているのです。イギリスのロンドンにあるトラガルファー広場では、4000羽ともいわれる鳩の群れに長年悩まされてきましたが、たった2羽の鷹によって1000羽にまで減少しました。ただ、鳩は多少の群れでも効果がありますが、カラスの場合は数羽の群れですと反対にタカがカラスに襲われることもあります。

なぜ鷹による対策は効果があるのか

鳩やカラスにとって安全な場所に巣を作ることはとても重用なことです。定期的に鷹を飛ばした地域は、そこが天敵のテリトリーになっていると考え、鳩などが近寄らなくなるのです。一度危険な目にあった場所は決して忘れませんから、その間に抜本的な改革を行うことで害鳥による被害を抑えることができるのです。

鷹による害鳥駆除のメリット

それでは、鷹による害鳥駆除にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

コストが安い

カラスを音で撃退する駆除装置は、ほとんどが数千円~数万円、数十万の機械もまれにありますが、カラスに音装置はほぼ効果がないと考えても良いでしょう。一方で鷹匠の相場は1セット40万円ほどです。

建物・建築物の景観を損ねない

防鳥ネットや剣山などと違い、設置物などを使用しないため景観を損ねることがありません。団地などでわなを用いた場合、1号棟にいた鳩が2号棟に移動してしまうといったことがありますが、そうなると新しくわなを設置しなおす必要があります。鷹による駆除の場合は、鷹匠自体が移動すればいいだけなので、作業量も時間も大きく節約することが可能です。

生活リズムを変える必要がない

ベランダなどに剣山を敷き詰めたりすると洗濯など日常の生活に支障をきたすことがありますが、鷹による害鳥駆除の場合、そのような不便さはありません。日常生活を送りながら確実に成果を出すことができるのです。

場所を選ばない

人間と鷹が入れる場所であれば、田舎であっても都会であっても問題なく駆除することが可能です。また、薬剤などを用いるわけではないので、ペットや小さな子どもがいる環境でも問題なく駆除することが可能です。

鷹による害鳥駆除のデメリット

人に飼われているとはいえ、鷹も猛禽類ですからあやまって鳩やカラスを傷つけてしまうことがあります。万が一にもそのようなことが起きれば、当然、鳥獣保護法違反になってしまうため、依頼する際は、必ず有害鳥獣駆除の許可を取っている業者を選ぶようにしましょう。

鷹による駆除が効果的な場所

公共施設などで大掛かりな害鳥対策が実施できない地域や、猟銃などによる駆除ができない地域では高い効果が期待できます。国内国外を問わず、空港周辺では、バードストライク防止のために鷹による害鳥駆除を導入しているところも少なくありません。

鷹による駆除がむずかしい場所

管理が行き届いていないゴミ捨て場は、カラスなどにとって格好の餌場となっています。鷹という天敵も恐ろしいですが、同時に生きるためには食べなければならないという生存本能があるため、危険を犯しても舞い戻ってくる可能性があるのです。

また、カラスや鳩は一度卵を生んでしまうと、種族保存の本能が刺激され、卵やひなを守るため捕食者である鷹にさえ向かってくることがあります。このような状況下だと、追い払いにも時間が掛かってしまいます。
帰巣本能が非常に強い場合は効果が出ない場合もあります。
また新しい群れがくる可能性もあります。

害鳥駆除に利用される鷹はどんな鷹?


日本には鷹に似た鳥として鷲の名前が上げられることがありますが、実はこの2種類の鳥に違いはありません。どちらも同じ鷹科の鳥類になります。日本には10種類以上生息していますが、これらの鷹が害鳥駆除に使われることはほとんどありません。(※ハリスホーク、レッドホーク以外も利用はされています。)日本では野鳥の捕獲、飼育が法律で禁止されているためです。

現在、害鳥駆除業者などで使われる鷹は海外から輸入されたハリスホークやレッドテールホーク、それにムクドリなど小鳥などにはミミズクなどが用いられます。

ハリスホークは、鷹の仲間ではめずらしく群れで狩りを行うことから、複数のハリスホークを使った一斉駆除が可能になりますし、夜間でも飛行が可能なワシミミズクは夕暮れ時などでも安定した追い払いを行うことができるのです。

鷹匠の訓練とは?

業者や鷹匠によっても訓練方法は異なってきますが、ほとんどは幼鳥の頃からひとりの鷹匠が飼育を担当することになります。鷹の寿命は長く、平均すると30~35年も生きることがあり、20歳以降でも安定した追い払いが行えます。

古来、鷹匠は放鷹術という武道のひとつとして数えられてきました。戦国から江戸にかけては日本各地の諸大名がそれぞれ専属の鷹匠を抱えていたのですが、明治維新とともに衰退し、天皇家に仕えた諏訪流と吉田流の2派だけが残ることになるのです。

現在日本には、鷹匠となるための国家資格はありませんが、日本放鷹協会、日本ワシ・タカ研究センター、日本鷹匠協会などの民間団体で認定試験が行われています。

一般的に鷹匠は、まず、鷹に対し爪嘴(つめはし)といって、嘴と爪を削ることから始まります。次に足革を付け、鈴を取り付けます。

段階的に鷹を人間社会に慣らす

鷹は本来、生き餌しか食べませんがウズラの肉などを鷹匠の手から直接エサとして与えます。これを喰い付かせといいます。その後、鷹小屋から外に出す軒出し、軒下から離れる軒離れ、車を見ても驚かないようにする馬車仕込み、電灯や人に慣れる町据えなど段階的に鷹を人間社会に慣らしていきます。

簡単なように見えて鷹の訓練はとても辛抱強く行う必要があり、狩りが行えるようになるまで数年掛かることが当たり前です。よくテレビなどで鷹が滑空して鷹匠の腕に止まるシーンがありますが、実はあれは腕ではありません。

据えというのですが、鷹は上に向けた拳の上に止まるのです。鷹は本来、枝やとまり木など安定した場所に着地しますから、ストレスがかからないよう常に同じ角度に腕を維持しなければならないのです。

とは言っても、これはあくまで鷹によって獲物を捕らえる鷹狩においての話しで、害鳥駆除で用いられる鷹の場合、ここまで厳しい訓練は行われていません。害鳥駆除会社の場合は、鷹匠ではなくトレーナーとか飼育員といった扱いになるのです。

また、鷹匠は常に腰の部分に餌合子(えごし)とよばれる専用のエサ箱を装着しているのですが、これは日本伝統の鷹匠の必須アイテムで、姿が見えない場所に鷹が行ってしまっても餌合子のフタを鳴らす音で場所を認識させることが可能になっています。

また、現在害鳥駆除などで活躍している鷹たちは、それぞれ発振器などが取り付けられていて、行方不明になっても探し出せるようになっています。

鷹による害鳥駆除まとめ

鷹による害鳥駆除は、薬品やわなを使わないことから環境にやさしい対策として注目を集めています。害鳥と言っても、いたずらに駆除するのではなく、ここが危険であるということを認識させ、近くの野山などに追い払うことで問題は解決するのです。

しかし、帰巣本能が強い場合など100%効果を発揮できない場合もあるので、その場合は鳥害専門のネットをはるなど物理的対策が必要となります。まずは専門家の意見をしっかりと聞いて、現在発生している鳥害に対して最適な対策を状況によって使い分けることが大切です。

当社でも鷹匠による鳥害対策サービスを行っております。
お気軽に、日本鳩対策センターまでご相談ください。

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