教えて!鳩対策センターさん

/2025.06.17

マンションに鳩がやってくる理由とは?

マンションに鳩がやってくる理由とは?

マンションやアパートにお住まいの方、鳩に悩まされていませんか?

ベランダや屋上、非常階段などに鳩が住み着くと、深刻な問題が発生します。鳩の糞は建物の美観を損なうだけでなく、強い酸性で建材を腐食させ、長期的な構造劣化の原因にもなります。

また、糞には健康被害をもたらす細菌や真菌が含まれていることもあり、特にクリプトコックス症などの感染症リスクも懸念されます。

さらに、早朝からの鳴き声による騒音、巣材やダニなどの衛生問題、そして一度住み着くと繁殖を繰り返して数が急増するという特性も厄介です。マンションの資産価値にも悪影響を及ぼし、住民間のトラブルの原因にもなりかねません。

この記事では、なぜ鳩がマンションの特定の場所を好んで集まるのか、その生態学的理由を深掘りし、効果的な対策方法について鳥害対策の専門家の知見をもとに詳しくご紹介します。

1: マンションのベランダ(室外機の裏)に鳩が集まる理由


マンションのベランダ、特に室外機の裏側は鳩が最も好む場所の一つです。なぜ鳩はこのような場所を選ぶのでしょうか?その理由を詳しく見ていきましょう。

鳩の行動パターンには季節による変動があります。春から秋にかけては特に活発になり、繁殖活動も盛んです。夏場はカラスなどの天敵による捕食活動が増えるため、一時的に数が減ることもあります。しかし、基本的に年間を通して室外機の裏に集まる傾向があります。

興味深いことに、室外機と外壁の間のわずか5cm程度のスペースでも、鳩は十分に巣を作ることができます。これは、彼らの野生の祖先が岩場の隙間に巣を作る習性を持っていたためです。マンションの室外機の裏側は、自然界の岩の隙間と非常に似た環境を提供しているのです。

1-1: 温かくて狭い空間が鳩にとって快適な理由

鳩は温かく狭い空間を本能的に好みます。室外機の裏側は、まさにこの条件を満たす理想的な場所となっています。

室外機が稼働すると発生する熱は、特に冬場に鳩にとって快適な温度環境を作り出します。また、狭いスペースは体温の保持にも役立ち、エネルギー消費を抑えることができます。

鳩は体温調節が上手な鳥ですが、厳しい気象条件からは身を守る必要があります。室外機の裏側は、寒さや暑さから保護してくれる安定した微気候を提供するため、鳩にとって絶好の住処となります。

1-2: 室外機の裏が風や天敵から守られる環境になる

鳩が室外機の裏を選ぶもう一つの重要な理由は、天敵から身を守れる環境であることです。特に都市部における鳩の主な天敵はカラスです。カラスは特に5月から7月の子育て期間中、鳩やその卵、雛を積極的に捕食します。室外機の裏側の狭いスペースはカラスが侵入しにくいため、鳩にとっては安全な避難所となります。

また、室外機の裏側は風雨や強い直射日光からも保護される場所です。これは野生の鳩が岩の隙間を選ぶ理由と同じで、外部環境の厳しさから身を守るためです。室外機の裏側は、そうした自然の岩場の隙間に非常に似た保護環境を提供しているのです。

1-3: 巣を作った居心地のよい場所からはなかなか離れない

鳩が一度巣を作った場所への執着は非常に強く、同じ場所を繰り返し使用する傾向があります。

鳩は場所を非常によく覚えていて、一度住みついた場所は「安全」と認識します。そのため、巣を撤去しても、ほぼ100%の確率で同じ場所に戻ってきます。多くの人が「巣を取り除けば鳩はいなくなる」と誤解していますが、実際には巣を撤去しても場所の記憶はしっかりと残っているため、すぐに戻ってきて再び巣作りを始めます。

鳩は年間に少なくとも5回の繁殖サイクルを持ち、繁殖本能が非常に強いため、一度居心地の良い場所と認識すると、そこから離れさせることは非常に困難になります。そのため、初期段階での対策や、専門業者による適切な対策が重要になります。

2: マンションの屋上に鳩が集まりやすい理由


マンションの屋上も鳩が好む場所の一つです。特にパラペット(屋上の縁の立ち上がり部分)には、多くの鳩が列をなして休息する光景がよく見られます。

屋上は高所にあり、周囲を見渡せる場所であるため、鳩にとって理想的な「安全確認スポット」ともなります。また、建物の構造によっては日当たりも良く、鳩が休息するのに適した環境を提供します。

さらに、屋上には給水タンクや浄化槽などの設備が設置されていることが多く、これらの下や隙間は鳩が巣を作りやすい場所となります。特に浄化槽の下や、タンクとコンクリート床の間の隙間は、風雨を避けられる絶好の場所です。

2-1: 屋上は見晴らしが良く、外敵を察知しやすい環境

鳩が屋上を選ぶ主な理由の一つは、先ほどもご案内した通り優れた視界です。高所からは広い範囲を見渡すことができ、天敵の接近を早期に発見できます。

鳩は視覚に非常に優れた鳥で、捕食者や危険を素早く察知する能力を持っています。マンションの屋上のような高所は、地上からの危険を察知するのに理想的な場所です。特にパラペットの上は、周囲360度を見渡せる絶好の見張り場所となります。

この「安全待機」の習性は野生の鳩が持つ本能的な行動パターンで、都市部の鳩もこの習性を強く保持しています。彼らは餌場へ降りる前に、必ず安全な高所から周囲の状況を確認します。

2-2: マンションの熱がこもり、暖かく過ごしやすい

マンションの屋上は建物内部からの熱が上昇してくるため、特に冬場は比較的暖かい環境になります。しかし、鳩が屋上に集まる主な理由は、温かさよりも「安全待機」や「休息」の場としての機能です。

省エネ住宅と従来の建物では、熱の発生や保持の特性に違いがありますが、鳩の集まり方に大きな違いはありません。鳩にとっては熱環境よりも安全性や見晴らしの良さの方が重要な要素です。

ただし、太陽光パネルが設置された屋上は特別な環境を作り出します。パネルの下は日陰になり、雨風を防ぐ効果もあるため、鳩にとって理想的な住処となります。このため、太陽光パネルが設置されたマンションでは、屋上の鳩問題がより顕著になる傾向があります。

2-3: 人の出入りが少なく、巣作りに適した場所になる

屋上は一般的に人の出入りが少ない場所です。このため、鳩は人間からの干渉を受けることなく、安心して巣作りや休息ができます。

人間による定期的な干渉がない環境では、鳩は警戒心を解き、その場所を「安全」と認識します。一方、人の出入りが頻繁にある場所では、鳩は警戒し続けるため、定着や巣作りまで進行することは少なくなります。

しかし、例外的に人の出入りが多い場所でも鳩が定着するケースがあります。特に人による餌付けが行われている場合、鳩は人間を危険と認識せず、むしろ餌の提供者として認識します。都市部の公園など、人が鳩に餌を与える場所では、鳩が人間に対する警戒心を失い、人の多い場所でも平気で生活するようになります。

3: マンションの非常階段に鳩が住み着く理由


マンションの非常階段は、鳩が特に好む場所の一つです。その構造や利用特性から、鳩にとって理想的な住処となっています。

非常階段のタイプによって、鳩の住み着きやすさには違いがあります。屋内型の非常階段は比較的鳩が侵入しにくいのに対し、建物の外側に設置された屋外型の非常階段は鳩が住み着きやすい傾向があります。

特にH鋼(H型の鉄骨)を使用した非常階段は、そのフランジ(水平部分)やウェブ(垂直部分)の構造が鳩の止まりやすい形状となっています。これらの部分には鳩が簡単に止まることができ、巣材を固定しやすいという特徴があります。

非常階段での鳩被害で特に厄介なのは、階段の複数の階に同時に鳩が住み着くケースです。実際に12階建てのマンションで、6階から12階まで全ての非常階段に鳩が巣を作ったという事例もあります。このような場合、清掃や対策が非常に困難になります。

3-1: 非常階段は人の利用頻度が低く、安全な隠れ場所になる

非常階段は日常的にはほとんど使用されないため、鳩にとって理想的な隠れ場所になります。人間の干渉が少ないことで、鳩は警戒心を解き、安心して巣作りや繁殖活動を行うことができます。

人の利用頻度が低い場所では、鳩は長期間にわたって安定した生活空間を確保できます。非常階段は文字通り「非常時」にのみ使用される場所なので、日常的な人間の活動から鳩は守られています。

マンション管理の観点からは、非常階段の定期的な利用や点検を促すことで、ある程度の鳩対策になる可能性もあります。しかし、非常階段をセキュリティのために施錠している場合も多く、実際には定期的な人の出入りを増やすことは難しいことが多いです。

3-2: 手すりや階段の隙間が止まりやすい構造になっている

鳩は非常に適応力の高い鳥で、様々な形状の場所に止まることができます。丸い手すりや傾斜のある場所でも難なく止まれるため、非常階段のあらゆる部分が鳩の休息場所になり得ます。


手すりのデザイン(丸型、平型など)や素材(コンクリート、鉄、アルミなど)による止まりやすさの違いはあまりありません。鳩はどんな形状や素材の上でも安定して止まることができます。これは、野生の鳩が岩場などの不安定な場所に適応してきた結果です。


驚くべきことに、鳩は約45度の傾斜面でも問題なく止まることができます。これは単に爪で引っかけるのではなく、足の裏の柔らかい部分と表面との摩擦を利用して止まる能力があるためです。このため、従来の鳩よけグッズの中には、鳩の止まり能力を過小評価したものもあり、効果が限定的な場合があります。

3-3: 非常階段の踊り場や梁が巣作りに適している

非常階段の踊り場や梁の部分は、鳩の巣作りに理想的な構造を提供しています。これらの場所は、自然界の岩棚や崖の隙間に似た環境を作り出しています。

踊り場は平らで安定した面を提供し、上部の階段や梁が屋根の役割を果たすため、雨風から守られた巣作りに最適な場所となります。また、梁と壁の接合部分には隙間や凹みがあることが多く、これらの場所は巣材を固定しやすく、巣が崩れにくい特性があります。

4: 太陽光パネルの下に鳩が潜む理由


近年、環境への配慮から多くのマンションに太陽光パネルが設置されるようになりました。しかし、これらのパネルの下は鳩にとって理想的な隠れ家となります。

マンションの太陽光パネルに鳩が潜む事例は非常に多く、特に餌場(畑や公園など)が近くにある場合、ほぼ確実に鳩が集まります。その結果、パネル下や周辺の糞害、排水溝の詰まりなどの問題が発生します。

鳩の糞には酸性成分が含まれており、太陽光パネルのセルを傷つける可能性もあります。また、糞がたまると排水路が詰まり、雨水の適切な排出が妨げられて浸水の原因になることもあります。

4-1: 日光を遮り、夏は涼しく冬は暖かい環境になる

太陽光パネルの下は、日光を遮るため夏は涼しく、冬は周囲の冷たい風から守られるため比較的暖かい環境になります。このような安定した微気候は、鳩にとって一年を通して快適な生活空間を提供します。

パネルの下は直射日光を避けられるため、夏の暑い時期でも鳩は熱中症のリスクなく過ごせます。また、パネル自体が熱を吸収するため、冬場はパネル下に温かい空気が溜まりやすくなります。

さらに、パネルが風や雨雪から守る屋根の役割を果たすことで、鳩は厳しい気象条件からも保護されます。このような環境的な利点が、太陽光パネル下を鳩にとって魅力的な住処にしています。

4-2: 雨風を防げるため、巣作りに最適な場所になる

太陽光パネルは優れた屋根の代わりとなり、雨風から完全に保護された空間を提供します。これは鳩が巣作りをする上で最も重要な条件の一つです。

鳩は巣作りの際、雨や風から卵やヒナを守れる場所を本能的に選びます。太陽光パネルの下は、まさにこの条件を満たす理想的な環境です。パネルが屋根となり、雨水の侵入を防ぎ、強風の影響も軽減します。

また、太陽光パネルの設置構造によっては、パネルの下にフレームや支持具などがあり、これらが巣材を固定するのに適した支点となります。こうした構造的特徴も、太陽光パネル下が鳩の巣作りに選ばれる理由の一つです。

4-3: 太陽光パネルの設置構造が鳩の侵入を助長する

太陽光パネルの設置方法によっては、鳩が侵入しやすい隙間や空間がどうしても生じてしまいます。特に、屋根とパネルの間にできる隙間は、鳩が好んで利用する場所となります。

従来の太陽光パネル設置では、パネルと屋根の間に5cm程度の隙間ができることが一般的でした。この隙間は、鳩が十分に侵入できるスペースとなります。最近では、この問題に対応して、パネルと屋根の間の隙間を最小限に抑えた設計のパネルも出てきています。

しかし、完全に隙間をなくすことは技術的に難しく、また屋根の形状が平らでない場合(例えば瓦屋根など)は、どうしても侵入可能な隙間ができてしまいます。

パネル設置時に鳩の侵入を防ぐ工夫としては、隙間をできるだけ小さくする設計や、侵入防止のためのネットやメッシュの設置などがあります。ただし、単純にネットで覆うだけの対策は、時間の経過とともに効果が低下することもあり、より根本的な解決策が求められています。

最近では、太陽光パネルメーカーと我々のような鳥害対策専門業者が連携して、設置段階から鳩対策を考慮したソリューションを提供するケースも増えています。

例えば、パネル設置業者が鳩の侵入リスクをお客様に説明し、鳥害対策専門業者を紹介するといった協力体制もあります。

5: 鳩が大規模マンションに集まる本当の理由と対策の重要性


大規模マンションは、その規模と構造的特徴から、鳩にとって特に魅力的な生息環境となります。多数の住戸があることで、人の目が行き届かない場所も多く、鳩が安心して住み着くことができます。

また、大規模マンションは様々な構造物(ベランダ、屋上、非常階段、設備機器など)を有しており、鳩にとって多様な住処の選択肢を提供します。これらの場所が鳩のコロニー(集団)形成を促進し、一度住み着くと対策が非常に困難になることがあります。

さらに、都市部の大規模マンションは、公園や広場など餌場になりやすい場所に近接していることが多く、鳩が「餌場へのアクセスの良さ」と「安全な休息・繁殖場所」の両方を得られる環境となっています。

5-1: 鳩は「安全な場所」を本能的に求めている

鳩は本能的に「安全な場所」を求める習性があります。彼らにとっての「安全」とは、主に以下の条件を満たす場所です。

  • ・捕食者(カラスなど)から身を守れる
  • ・厳しい気象条件(雨、風、極端な気温など)から保護される
  • ・人間の干渉が少ない
  • ・餌場や水場へのアクセスが良い

マンションの様々な構造物は、これらの条件を満たす環境を提供しているため、鳩に選ばれやすくなります。特に都市部の鳩は、世代を超えて都市環境に適応してきており、人工的な建造物を自然の岩場や崖の代わりとして巧みに利用する能力を発達させています。

鳩は一度「安全」と認識した場所に強く執着するため、そこから追い出すことは非常に困難です。このため、鳩が住み着く前の予防的対策が非常に重要となります。

5-2: 環境を整えることで鳩の侵入を防ぐ

鳩の侵入を防ぐ最も効果的な方法の一つは、環境整備です。マンションの構造を鳩にとって「不快」または「危険」と感じさせる環境に変えることで、鳩の定着を防ぐことができます。

効果的な環境整備には以下のような方法があります。

  • ・餌となるものを管理する:マンション敷地内での餌付けを禁止し、ゴミの適切な管理を徹底する
  • ・物理的障壁を設置する:鳩が止まりやすい場所にはバードスパイクや防鳥ネットを設置する
  • ・視覚的・聴覚的な威嚇装置を利用する:反射テープや音を出す装置など(ただし、効果は一時的なことが多い)
  • ・電気ショックシステムの導入:鳩が止まりやすい場所に設置することで、その場所を「危険」と学習させる

これらの対策は、鳩がまだ定着していない初期段階で実施するのが最も効果的です。鳩が完全に住み着いてしまった後では、より強力で包括的な対策が必要になります。

5-3: 継続的な対策で鳩からマンションの快適さを守る

鳩対策は一度行えば永続的に効果が続くものではありません。継続的な対策とモニタリングが、長期的な成功の鍵となります。

効果的な継続対策の重要ポイントは以下の通りです。

  1. ①段階的なアプローチ:初めは防鳥ネットなどの物理的障壁で鳩を排除し、その後電気ショックシステムなどの予防的対策に移行する
  2. ②定期的な点検とメンテナンス:設置した対策設備(ネット、スパイク、電気ショックシステムなど)を定期的に点検し、必要に応じて修理や交換を行う(電気ショックシステムの場合、3〜5年ごとのバッテリー交換が必要)
  3. ③新たな鳩の飛来を監視:たとえ現在の鳩を排除できても、餌場環境が変わらなければ新たな鳩が来る可能性が高いため、継続的な監視が重要
  4. ④大規模修繕との連携:マンションの大規模修繕時に鳩対策も一緒に行うことで、コスト効率を高めることができる(ただし、修繕までの間に被害が拡大する可能性もあるため、状況に応じた判断が必要)

対策後のモニタリングでは、特に以下の点に注意が必要です。

  • ・鳩が移動して別の場所に住み着いていないか
  • ・設置した対策設備が劣化していないか
  • ・新たな鳩の群れが近隣に現れていないか
  • ・餌場環境(公園や広場など)に変化がないか

最も効果的な対策は、マンション全体で統一した包括的なアプローチを取ることです。部分的な対策では、鳩が単に移動するだけで根本的な解決にならないことが多いため、管理組合や住民全体での協力が重要となります。

鳩対策の専門業者に依頼する場合は、単なる設置工事だけでなく、長期的なメンテナンス計画や定期点検を含めたサービスを選ぶことが理想的です。

マンションの鳩対策は、早期発見・早期対応が何よりも重要です。少数の鳩が訪れ始めた段階で適切な対策を行えば、比較的簡単に問題を解決できます。

しかし、鳩が完全に定着してしまうと、より複雑で費用のかかる対策が必要になります。日頃からの観察と予防的な環境整備を心がけ、快適なマンション生活を守りましょう。

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